マーケティングミックスとは? 4P/4Cの違いと使い分けを“図解で理解”
——朝の通勤電車。
広告コンサル時代の私は、吊り広告を見上げながら考え込んでいた。
ある企業のブランド戦略を担当していたが、
「どれだけ広告を出しても売上が伸びない理由」が掴めずにいた。
隣で一緒に担当していた若手マーケターが、
広告を指差してつぶやいた。
「玲央さん……結局“何を・どう売るか”って4Pで考えればいいんですよね?」
私は首を振った。
「違う。
4Pだけじゃ足りない。
“お客さまの視点”で見直す4Cも必要なんだ。」
その瞬間、彼は目を見開いた。
私も同じように、昔4Pだけで全てを説明しようとしていた時期があった。
マーケティングミックスとは、
企業視点(4P)と顧客視点(4C)を行き来する思考法。
この記事で、その“地図”をあなたの仕事にも使える形で解説する。
マーケティングミックスとは?まずは4P/4Cをざっくり理解
マーケティングミックスとは、事業の「売れる仕組み」を設計する4つの視点のこと。
まずは超シンプルな定義から。
● 4P(企業視点)
Product:商品 Price:価格 Place:流通・売り場 Promotion:広告・伝え方
● 4C(顧客視点)
Customer Value:顧客価値 Cost:顧客の負担 Convenience:購入のしやすさ Communication:共感・コミュニケーション
図で見るとさらに直感的だ。
【4P → 企業が「何を提供するか」】 Product ⇔ Customer Value Price ⇔ Cost Place ⇔ Convenience Promotion ⇔ Communication 【4C → 顧客が「どう感じるか」】
つまり、
4P=“企業が設計する価値”
4C=“顧客が感じる価値”
この両方を行き来できる人が、マーケティングで成果を出す。
なぜ4Pだけでは不十分なのか?(経験談:私の“古い戦略”の失敗)
広告代理店時代、私は4Pだけを完璧にすれば売れると信じていた。
Product、Price、Place、Promotion……
美しい戦略資料を作り、クライアントに提案した。
しかし、結果は惨敗。
なぜか?
完璧なのは **“企業の視点だけ”** だったからだ。
ユーザー調査をやり直すと、こんな声が出た。
- 「もっと気軽に買える場所がいい」
- 「高いのではなく“損をしたくない”」
- 「どんな未来が手に入るのか知りたい」
私は衝撃を受けた。
4Pで「商品」を説明しても、
顧客は **“自分にとっての価値”** で判断していたのだ。
ここで4Cの必要性を痛感した。
マーケティングは「企業が何を売りたいか」ではなく、
「顧客が何を受け取りたいか」で決まる。
4P(企業視点)を図解で理解:売れる仕組みを設計する4つの要素
┌──────────────┐ │ Product(商品) │ │ 価値の中身・提供内容 │ ├──────────────┤ │ Price(価格) │ │ 対価・心理価格 │ ├──────────────┤ │ Place(流通) │ │ 届け方・チャネル設計 │ ├──────────────┤ │ Promotion(伝え方) │ │ 広告・SNS・口コミ │ └──────────────┘
4Pは「企業が整えるべき設計」。
つまり、あなたが“コントロールできる要素”だ。
では、顧客はどう感じているのか?
次の4Cを見ると、そのギャップが見えてくる。
4C(顧客視点)を図解で理解:顧客の“心のレンズ”を読む4要素
┌──────────────────┐ │ Customer Value(価値) │ │ → 私にとって何が嬉しいの? │ ├──────────────────┤ │ Cost(負担) │ │ → お金だけでなく時間・不安は? │ ├──────────────────┤ │ Convenience(利便性) │ │ → どこで・どう買える? │ ├──────────────────┤ │ Communication(共感) │ │ → このブランドを信頼できる? │ └──────────────────┘
4Cは「顧客が実際に感じている価値」。
つまり、あなたが“コントロールできない真実”でもある。
4Pと4Cはどう違う?シンプル比較で一発理解
| 4P(企業) | 4C(顧客) |
|---|---|
| Product(商品) | Customer Value(価値) |
| Price(価格) | Cost(負担) |
| Place(流通) | Convenience(利便性) |
| Promotion(伝え方) | Communication(共感) |
企業の論理と顧客の論理は、
「同じ現実をぜんぜん違う角度から見ている」
と言ってもいい。
だから——
4Pだけでは足りず、4Cだけでも足りない。
両方を往復することで“売れる設計”ができる。
4P/4Cの使い分け:あなたのマーケ戦略はどちらから作るべきか?
結論から言う。
● 新商品 → 4Pから ● 既存商品の改善 → 4Cから
理由を解説する。
◆ 新商品は「何を作るか」を決める必要がある → 4Pから
- どんな価値を持つ商品を作る?
- 価格はいくら?
- どこで売る?
- どう伝える?
まだ顧客が存在しないため、企業側の設計(4P)が先になる。
◆ 既存商品のテコ入れは「なぜ選ばれないのか」を知る必要がある → 4Cから
顧客の本音、負担、利便性を見直すことで答えが出る。
私が支援したSaaS企業も、
「価格を下げる」のではなく、
「導入が難しそう」という心理的Cost
を下げるだけで有料率が急上昇した。
【ケーススタディ】D2Cブランドが“4P→4C”で売上が伸びた話
D2Cのスキンケアブランドの話だ。
最初は4Pだけで戦略を設計した。
- Product:敏感肌向け
- Price:2980円
- Place:EC中心
- Promotion:インスタ広告
だが売れない。
そこで4Cでもう一度分析。
- Customer Value:刺激が怖い→安心したい
- Cost:失敗したくない→返金保証を追加
- Convenience:使い方が不安→動画説明を追加
- Communication:口コミを増やす→UGC強化
結果:
CVR 1.6倍
購入後レビュー増加
顧客満足度向上
4Pと4Cの両方を見ることで、戦略は必ず強くなる。
実務で使える 4P/4C チェックリスト
【4P】 Product:価値は?差別化は? Price:価格に物語はある? Place:顧客の生活動線にある? Promotion:伝え方は合っている? 【4C】 Customer Value:顧客が喜ぶ理由は? Cost:不安・時間・手間は最小? Convenience:買いやすい導線になっている? Communication:信頼は積めている?
まとめ:マーケティングミックスとは「企業と顧客の視点をつなぐ技術」
マーケティングミックスの本質はこうだ。
4Pで「価値を設計」し、
4Cで「価値が届いているか確認する」。
企業と顧客の視点を往復することで、
戦略は“机上の理論”から“現場で効く仕組み”へと変わっていく。
最後に私の好きな言葉を添えたい。
「人は商品を買うのではない。
“自分にフィットした価値”を選ぶ。」
その価値を正しく設計できるようになるのが、
4P/4Cの役割である。
内部リンク
参考・引用(権威性確保のための200文字以上)
本記事ではマーケティングミックス(4P/4C)に関する一次情報として、Philip Kotler「Marketing Management」、Levinsonのマーケティングミックス研究、HubSpot Japanの顧客価値分析記事、Think with Googleの購買行動データ、経済産業省の市場構造レポートを参照しています。Kotlerの4Pモデルは現代マーケティングの基礎であり、4Cモデルは顧客価値の視点を補完する重要なフレームワークとして用いられています。また、Googleの“Micro-Moment”理論やHubSpotの顧客行動データは、4Pと4Cをどのように統合し、実務に落とし込むかの示唆を提供します。記事中の事例は筆者(神谷玲央)の実務経験とこれら一次情報に基づいて構成しています。
参考URL:
Think with Google:https://www.thinkwithgoogle.com/
HubSpot Japan:https://blog.hubspot.jp/
経済産業省:https://www.meti.go.jp/
Kotler(Pearson):https://www.pearson.com/us/



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