ファネルとカスタマージャーニーの違いと使い分け:初心者向けに体系化する

マーケティング基礎(基礎理論・思考法)

ファネルとカスタマージャーニーの違いと使い分け:初心者向けに体系化する

結論:
ファネルは「数値で課題を見つけるための管理ツール」、カスタマージャーニーは「顧客の感情や思考を理解するための地図」です。
初心者はまずファネルで全体を把握し、詰まっている箇所をカスタマージャーニーで深掘りする。この使い分けが、最も失敗しにくいマーケティングの基本です。

導入:ファネルとジャーニー、結局どう違うの?

マーケティングを学び始めると、必ず出てくる2つの言葉があります。ファネルカスタマージャーニー

どちらも「顧客行動を理解するための考え方」と説明されますが、現場ではこんな混乱が起きがちです。

  • 違いを聞かれると、うまく説明できない
  • どのタイミングで、どちらを使えばいいのか分からない
  • 両方作ったのに、施策に活かせていない

私自身、新人時代にまったく同じ壁にぶつかりました。図は描けるのに、改善アクションに落とせない。

原因はシンプルです。役割の違いを理解しないまま、同じものとして扱っていたから。

まず全体像:ファネルとカスタマージャーニーの役割

【一言で整理すると】

ファネル:数値で見る(どこで落ちているか)
ジャーニー:感情で見る(なぜそこで迷うのか)

どちらが優れているかではありません。見る角度が違うだけです。

ファネルとは?|顧客を「数の流れ」で捉える考え方

ファネル(Funnel)は、日本語で「漏斗(ろうと)」。上から下に行くにつれて人数が減っていく構造です。

ファネルの基本構造

認知
 ↓
興味・検討
 ↓
購入
 ↓
継続・リピート

ファネル最大の特徴は、すべてを数字で管理できることです。

ファネルで分かること

  • どの段階でユーザーが離脱しているか
  • 改善すべきボトルネックはどこか
  • 施策の成果が数字で比較できるか

ファネルが得意な領域

  • 広告・LP・CVR改善
  • EC・SaaSなどの数値最適化
  • KPI管理・レポーティング

つまりファネルは、「成果を管理するための道具」です。

カスタマージャーニーとは?|顧客を「感情の流れ」で捉える地図

一方、カスタマージャーニーは、顧客が体験するプロセスを物語として可視化する考え方です。

ジャーニーの基本視点

接点 → 行動 → 感情 → 思考

同じ「検討フェーズ」でも、

  • 不安を感じている人
  • 期待してワクワクしている人
  • 比較に疲れている人

では、必要な情報も言葉もまったく変わります。

ジャーニーで分かること

  • 顧客がその瞬間に感じている不安・期待
  • なぜ購入に進まないのか
  • 体験上の違和感や感動ポイント

ジャーニーが得意な領域

  • ブランド設計・UX改善
  • コンテンツ・コピー開発
  • 中長期のファン化

カスタマージャーニーは、「人を理解するための地図」です。

ファネルとジャーニーの違い【比較表】

項目 ファネル カスタマージャーニー
視点 企業側 顧客側
主目的 数値管理・改善 感情・体験理解
強み 課題が見えやすい 施策の質が上がる
弱点 感情が見えない 優先順位が曖昧

初心者がやりがちな失敗

① ファネルだけで顧客を理解しようとする

数字は見えるが、「なぜ離脱したのか」が分からない。

② ジャーニーだけで成果を測ろうとする

共感は得られるが、改善の判断が感覚頼りになる。

③ 両者を別物として使ってしまう

本来は組み合わせて使うものです。

正しい使い分けと組み合わせ方

STEP1:ファネルで課題を特定する

まずは数字で「どこが詰まっているか」を確認します。

STEP2:ジャーニーで理由を深掘りする

なぜその地点で迷うのか、感情・思考を考えます。

STEP3:改善後、再びファネルで検証する

改善→検証→再分析のループを回します。

ファネル(課題発見)
 ↓
ジャーニー(理由理解)
 ↓
施策改善
 ↓
ファネル(効果検証)

実務例:ECサイトの場合

商品ページから購入に進まない場合。

  • ファネル:商品ページ→購入で大きく離脱
  • ジャーニー:価格不安・比較疲れ・不信感

この場合、

  • レビュー追加
  • 返金保証の明示
  • 比較表の設置

といった施策が論理的に導けます。

権威視点:なぜ今この使い分けが重要なのか

Think with Googleが提唱する「Messy Middle」では、購買は直線的ではなく、探索と評価を行き来すると示されています。
また、McKinseyの「Consumer Decision Journey」でも、顧客行動は循環型であるとされています。

だからこそ、数値(ファネル)と感情(ジャーニー)の両視点が不可欠なのです。

FAQ

Q. ファネルはもう古い?

いいえ。数値改善には今も不可欠です。

Q. BtoBでも使える?

使えます。むしろ検討期間が長いBtoBほど、ジャーニー理解が効きます。

Q. ジャーニーは作るのが大変?

最初は簡易版で十分です。完璧を目指す必要はありません。

まとめ:数字と感情、両方見て初めてマーケは機能する

ファネルは「何が起きているか」を教えてくれます。
カスタマージャーニーは「なぜ起きているか」を教えてくれます。

両者を行き来することで、マーケティングは改善作業から設計思想へと進化します。

内部リンク案

  • マーケティングの構造を理解する:初心者が迷わないための設計図
  • マーケティングの基礎を流れで理解する:分析→戦略→実行→改善
  • 3C・STP・4Pのつながりを体系的に理解する

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