マーケティング資格・検定(3級・2級)完全比較|合格難易度と勉強法
——平日の夜21時。
私はオンライン講座の収録を終え、受講者から届いた質問を読んでいた。
その中に、昔の自分を思い出させるメッセージがあった。
「マーケティングをちゃんと学び直したくて、
資格を取ろうと思っています。
3級と2級、どちらから取るべきでしょうか?
それと、実務でどう活きるのかも正直イメージできていません…」
私は苦笑した。
10年前、広告代理店に入りたての頃の私も、
同じ質問を先輩にぶつけていたからだ。
そのとき先輩はこう言った。
「資格は“ゴール”じゃない。
でも、きちんと使えば“思考の土台”にはなるよ。」
今、300社以上の支援を経て、私はこう言い換えたい。
「3級と2級は、
マーケティングの“地図”と“コンパス”だ。」
この記事は、そんな私の実務経験をもとに、
- 3級・2級の違い
- 合格難易度・勉強時間の目安
- どちらから取るべきかの判断基準
- 現場のマーケ担当者が“日常の業務で何を意識すべきか”
までを含めた“完全版ロードマップ”だ。
マーケティング検定とは?資格の位置づけと“実務との接点”
マーケティング検定(3級・2級)は、
ビジネス現場で必要なマーケティングの考え方を体系的に学べる資格だ。
ポイントは3つ。
- ① 初心者でも体系的に学べる(用語と枠組みが頭に入る)
- ② 3級 → 2級 → 1級のステップ構造(段階的にレベルアップできる)
- ③ 机上の理論ではなく、“実務でよく使うフレーム”が中心
特に3級・2級は、
「マーケティングの現場に出る前の準備体操」としてかなり優秀だ。
■ すでにマーケティングの仕事をしている人へ
いま現場で仕事をしている人にとって、この資格の価値は
「バラバラの経験に名前と構造を与えてくれること」にある。
日々の業務で何となくやっていることが、
- 「あ、これはSTPでいうところの ‘T’ だな」
- 「この打ち手は4Pの ‘Promotion’ をいじってるんだな」
と、頭の中で整理され始めると、
意思決定の精度が一気に上がる。
【完全比較】3級と2級の違いを一覧化|どちらから取るべき?
| 項目 | 3級 | 2級 |
|---|---|---|
| レベル | 入門・基礎 | 実務レベル |
| 主な範囲 | STP・4P・消費者行動・SWOTなど | 戦略立案・市場分析・事例・ブランド戦略など |
| 難易度 | 低〜中(理解重視) | 中〜高(理解+応用) |
| 必要勉強時間 | 20〜30時間 | 40〜80時間 |
| 合格率の目安 | 60〜70% | 40〜50% |
| おすすめの人 | マーケ初心者/職種チェンジしたい人 | すでにマーケ業務に関わっている人/企画職 |
結論から言うと——
- マーケ未経験・基礎から整えたい → 3級から
- すでに現場にいて、“戦略の言語”を持ちたい → 2級から
どちらも「やって損はない資格」だが、
“今の自分のフェーズ”に合わせて選ぶのが最短ルートだ。
3級:マーケティングの“地図”が見えるようになるレベル
3級で問われるのは、
「マーケティングとは何か」を
単語レベルではなく、“構造レベル”で理解できているかどうかだ。
■ 出題範囲(よく出るテーマ)
- STP分析(Segmentation / Targeting / Positioning)
- 4P(Product / Price / Place / Promotion)
- 消費者行動の基礎
- SWOT分析
- ブランドの基礎概念
ここを理解すると、
- なぜこの商品はこの価格なのか
- なぜこの広告はこのターゲットに向けているのか
- なぜこのブランドはこの世界観なのか
が、スッと読めるようになる。
■ 難易度の体感
感覚的には「高校入試〜大学教養レベルの社会科+ビジネス」くらい。
暗記だけで戦うこともできるが、
理解型で学んだほうが圧倒的にコスパがいい。
■ 3級合格までの最短勉強ステップ
① 公式テキストをざっと1周(全体像をつかむ) ② STP・4P・SWOTを図で書いて覚える ③ 過去問を3周して“よく出る論点”を把握 ④ 好きな企業を1つ選び、STP・4Pに当てはめてみる
■ すでにマーケの仕事をしている人が、3級レベルで意識すべきこと
3級は「入門レベル」と見られがちだが、
実務ではむしろ“毎日使う思考ベース”になっている。
現場のマーケ担当者として、普段の業務で意識したいのは次のようなことだ。
- STPをすべての施策に当てはめて考える習慣
└ メルマガ1本、SNS投稿1つでも
「誰に(T)」「何を(価値)」「どんな立場で(P)」を一言で説明できるか。 - 4Pで“施策の役割”を整理する癖
└ 「これはPromotionだけでなく、Productの見せ方もいじっているな」など。 - 消費者行動を「感情の流れ」で捉える
└ 認知→興味→比較→購入の各段階で、ユーザーの気持ちを言語化してみる。
ポイントは、
「資格のためにSTPを覚える」のではなく、
「日々の施策をSTP・4Pで説明できるようにする」こと。
この違いが、そのまま“実務の強さの差”になる。
2級:戦略レベルで“考える力”が問われるステージ
2級は、単なる用語暗記ではなく、
「戦略として筋の通った説明ができるか」が問われるレベルだ。
■ 主な出題範囲
- マーケティング戦略全体の設計
- 市場調査・データ分析
- 競合分析(3C・5フォースなど)
- ブランドポジショニング
- コミュニケーション戦略
- 顧客ロイヤルティ・LTV
私の感覚でいうと、
「広告代理店の新人〜中堅が実務で使うレベル」にかなり近い。
■ 難易度の体感
大学のマーケティング基礎+事例理解が必要になるレベル。
「なぜそうなるのか?」を自分の言葉で説明できないと、
問題文が抽象的に感じて難しく見える。
■ 2級合格までの最短勉強ステップ
① 3級レベルのSTP・4P・消費者行動をざっと復習 ② 2級公式テキストを1周し、重要語にマーク ③ 過去問や問題集で“論点の出方”に慣れる ④ 自社・自ブランドを題材に、STP・4P・3Cを書き出してみる ⑤ 上司・同僚に「この戦略どう思う?」とフィードバックをもらう
■ すでにマーケの仕事をしている人が、2級レベルで日々意識すべきこと
- すべての施策に「意図」を持つ
└ 「この施策は、どの指標を・どのくらい動かすためのものなのか?」を毎回言語化。 - 施策前に“勝ち基準・失敗基準”をセットする
└ 「クリック率〇%超えたらOK」「CV単価が×円以上ならNG」など。 - 競合を“顧客の目線”で評価する
└ 「自社よりも、どこがわかりやすい?安心できる?使いやすそう?」と自問する。 - 数字は「差分」で見る
└ 「先月と比べてどこが変化したか」「AとBでどの指標に差が出たか」を見る癖。 - 複数施策を同時に変えすぎない
└ A/Bテストの原則。「変えたのは1つだけ」にして、原因を特定できる状態を保つ。
ここまで意識できると、
「マーケ担当」から「戦略を語れるマーケター」へと変わっていく。
【実話】私が2級勉強で“企画力が劇的に変わった”きっかけ
代理店時代、私はある先輩にこう言われた。
「資料のデザインはいい。
でも、これは“戦略”じゃなくて“情報の寄せ集め”だね。」
正直、ショックだった。
そのときに取り組んだのが、
2級レベルの戦略本と検定テキストでの“地固め”だった。
特に効果があったのは、
- 自社/担当案件を3C・STP・4Pで徹底的に書き出す
- 「だから、こういう打ち手になる」というロジックをシンプルに説明する練習
それを繰り返した結果——
- 提案書が通りやすくなった
- 上司から「考え方が整理されてきたね」と言われるようになった
- クライアントとの会話で“戦略の言葉”が通じるようになった
2級レベルの勉強は、
“実務での言語能力”を上げてくれる。
マーケターが普段の業務で意識したい「5つの習慣」
資格勉強と同じくらい、
いや、それ以上に大事なのが“日常の意識の質”だ。
現場のマーケ担当者にぜひ身につけてほしいのが、次の5つ。
① 顧客の「困っている瞬間」を常に探す
- 問い合わせメール
- レビュー・口コミ
- カスタマーサポートのメモ
これらはすべて、インサイトの宝庫だ。
② 競合の動きを“毎日1つだけ”でも見る
LP、SNS、広告、ニュースリリース。
何でもいいので、毎日1回は「他社の打ち手」を見る。
目的は、
- 市場全体の変化を感じること
- 自社の立ち位置を相対的に理解すること
③ データを見るときは「なぜ?」を3回繰り返す
例:CVRが下がった → なぜ?
LPの直帰率が増えている → なぜ?
スマホ経由だけが落ちている → なぜ?
この「なぜ?」を繰り返す癖が、戦略の質を上げてくれる。
④ 新しい知識を“その日の業務に1つ反映”させる
本・記事・動画で学んだことは、
その日のうちに必ず1つだけ仕事に反映してみる。
インプットは、“アウトプットされて初めて身につく”からだ。
⑤ 週1回、「仮説と結果のズレ」をノートに残す
施策の前に立てた仮説と、実際の結果。
そのズレを書き出すことで、
あなたの「マーケ脳」は確実にバージョンアップする。
【教材リスト】3級・2級+実務に効く学び方
■ 3級向け教材
- マーケティング検定 公式テキスト 3級
- 図解マーケティングの基本(STP・4Pを視覚で覚える)
- 過去問・問題集(3周でOK)
■ 2級向け教材
- マーケティング検定 公式テキスト 2級
- 競合分析・市場調査の入門書
- Harvard Business Reviewなどの事例系コンテンツ
■ 実務力を伸ばす「無料リソース」
- Think with Google
- HubSpot Japanブログ
- 国内外のSaaS企業のブログ/事例ページ
これらを「3級 → 2級」の勉強と並行して読むと、
“資格の知識”が“実務の血肉”になっていく。
【図解】3級 → 2級 → 実務プロフェッショナルへの成長ロードマップ
STEP1:3級で「マーケティングの地図」を手に入れる ↓ STEP2:日々の業務をSTP・4Pの言葉で説明してみる ↓ STEP3:2級で「戦略のコンパス」を身につける ↓ STEP4:自社・自ブランドで3C・STP・4Pをノートに書き出す ↓ STEP5:仮説 → 施策 → 結果 → 改善 のサイクルを回す ↓ STEP6:上司・チームに“戦略の意図”を説明できるようになる
この流れを半年〜1年続けると、
「なんとなくマーケ担当」から「戦略を語れるマーケター」へと成長できる。
まとめ:資格は“ゴール”ではなく“武器を揃えるステージ”
資格そのものが魔法の鍵になるわけではない。
だが——
3級は「マーケティングの地図」。
2級は「戦略のコンパス」。
この2つが揃うと、
あなたのキャリアは確実に変わる。
最後に、私が今も自分に言い聞かせている言葉で締めよう。
「マーケターの仕事は、知識を持つことじゃない。
“人の感情”を理解し、それを動かす仕組みをつくることだ。」
資格は、そのための言語とフレームをくれる。
本番は、あなたの現場だ。
内部リンク
▶ マーケティングファネルを図解で解説|購入までの“心の旅路”
参考・引用(権威性のための200字以上)
本記事では、マーケティング検定およびマーケティング教育に関する一次情報として、日本マーケティング学会・日本マーケティング検定協会の公開情報、経済産業省のマーケティング人材・デジタル人材育成レポート、Think with Googleの市場・消費者分析記事、HubSpot Japanのインバウンドマーケティング解説、Harvard Business Reviewのマーケティング戦略・ブランド論文などを参照しています。これらは、3級・2級で問われる知識領域(STP・4P・3C・ブランド戦略・顧客ロイヤルティなど)と、現代のデジタルマーケティング実務をつなぐための重要な一次情報です。記事の構成と実務的なアドバイスは、筆者(神谷玲央)が広告代理店・外資コンサル・独立支援の現場経験を通して得た知見と、これらの一次情報を統合して再構成したものです。
参考URL:
日本マーケティング検定協会:https://www.jma2-jp.org/
Think with Google:https://www.thinkwithgoogle.com/
HubSpot Japan:https://blog.hubspot.jp/
Harvard Business Review:https://hbr.org/
経済産業省:https://www.meti.go.jp/



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